2019.10.14

関節痛を侮ってはいけない!

皆さまこんにちは😃
院長の齊藤です。

今回は【関節痛】のお話です。

当院には、腰痛や首、肩の痛みで来院される患者様が多くを占めていますが、膝関節や肩関節、肘関節などの【関節痛】でお悩みの方も少なくはありません。

たいていの場合、スポーツや仕事などで関節に過剰負担をかけて発症するか、又は筋力の低下により起こる場合がほとんどです。

後は外傷、いわゆる捻挫や打撲で負傷した場合も当然関節痛は起こります。

これらの関節痛はほとんどが予防できますし、完治する確率も高いものです。

関節の軟骨がすり減ったり、変形したりして痛みが発症する場合でも変形した骨は元に戻る事はほぼ不可能ですが、痛みを取ったり関節の可動域を広げる事は可能なケースは多いです。

しかし、長引く関節痛の中には、我々の医療である接骨院や鍼灸院では手に負えない、治すことがほぼ不可能な関節痛も存在します。

その代表と言っても過言ではない、関節痛を伴う病気が
今回の本題である 【関節リウマチ】です。

【関節リウマチ】という病名は大抵の人はご存知かと思いますが、その病態たるものをわかりやすく説明していこうと思います。

【関節リウマチ】は、全身の様々な関節に腫れや痛みを生じて、時が経つにつれ徐々に関節や骨が壊されていく病気です。

10数年前までは、関節リウマチは一生痛みが続き、関節がだんだんと変形して決して治らない病気などと考えられていました。しかし今は新薬により、出来るだけ早期に治療を開始すれば痛みや腫れなどの症状が抑えられ、関節が壊れていかない状態を目指すことが可能となってきました。

関節リウマチは、身近な難治性疾患!

  • ○ 全身の関節に慢性的な炎症が生じ、年余に渡り症状が続く。
  • ○ 進行性の関節破壊により、関節の機能障害が起こる。
  • ○ 内臓病変を起こす場合があり、生命にかかわってくる。
  • ○ 罹患率は人口の0.6〜1パーセント。日本の患者数は60〜100万人と推定。
  • ○ 社会負担が多い
    ・罹患率が高い
    ・治療期間が長い
    ・QOL(生活の質)低下を招き、将来介護対象になりうる

なぜ関節リウマチは起こるのでしょう?

【関節リウマチ】は、自己免疫疾患と言って「免疫」の異常によって起きる病気なのです。免疫というのは本来、ウイルスや細菌等の病原体から身体を守ってくれる機能を持っています。

関節リウマチが発症すると、免疫が関節を誤って攻撃することによって、関節の滑膜に炎症(痛みや腫れ)を引き起こし、サイトカインと言う物質が過剰に分泌され、さらに炎症を悪化させ関節を破壊させてしまいます。

原因としては本来の体質、主に遺伝的なものと何らかのきっかけが重なり、免疫の異常が起きると考えられています。そのようなきっかけとしては、感染症や外傷、激しいストレス、喫煙などが挙げられますが、まだはっきりとした原因はわかってないのが現状です。

30~50歳代の女性に多く発症する

関節リウマチが発症するピーク年齢は30~50歳代です。男性よりも女性の方が多く、男女比 はおよそ1:4です。また、早ければ20代で発症する場合もあり、60歳以降に発症する方も少なくありません。

関節リウマチの症状

【関節リウマチ】の症状は、主に関節の痛みや腫れなのですが、右手の関節が腫れたら左手の関節も腫れた、というように、左右の関節で対称的に現れるのが特徴です。治療せずに放置してしまうと骨や関節の組織が徐々に破壊されて変形し、その結果、日常生活での動作に支障が生じてしまいます。

その他にも発熱や疲労し易い、食欲がなくなる等の全身症状が生じ、さらには関節の炎症が肺や血管など内臓の病変に広がることもあります。

【関節リウマチ】では、朝起きてからしばらく手や足の節々が腫れぼったい動かしにくい、ということが良くあります。これはリウマチの1番の特徴である「朝のこわばり」とよばれる症状です。

大抵の場合、指の第2関節と第3関節に症状が現れます。第1関節が痛む場合は、リウマチではなく変形性関節症(べバーデン結節)が疑われます。

関節リウマチは決して治らない病気ではなくなった⁈

先ずは左のグラフをご覧ください。

オレンジの線が、以前より使用されている抗リウマチ薬です。
青が消炎鎮痛剤
黄色がステロイド薬
赤が非生物学的製剤
緑が生物学的製剤です。

そして右のグラフが、下から寛解(症状なし)・軽度・中度・重度率となっています。

残念ながら、リウマチを完治させる方法は今の所ありません。しかし治療は可能です。治療しなければ関節や内臓が破壊され障害が残ります。

10年前までのリウマチの治療と言えば、抗リウマチ薬を中心に、消炎鎮痛剤そしてステロイド薬が主流でしたが、これらは全て根本治療ではなく症状を抑えるための対症療法でしかないために、寛解率は10パーセントをに満たない状態でした。

しかし、非生物学的製剤の研究成果もあり、昨今ではリウマチの寛解率が50パーセントを超える結果が認められております。

ただ、生物学的製剤も使用率が向上しておりますが、こちらの製剤はかなり高額であり患者に相当負担になっているとの事です。

以上のデータでお分かりの通り、今や関節リウマチは絶対治らない病気ではなくなったと認識できる思います。また早期に治療を開始すれば、ほとんど人が発症せずに症状を抑える事ができるそうです。

関節リウマチ患者の5人に1人は接骨院に通院経験あり!

ここからは一般の方だけではなく、我々接骨院や鍼灸院を経営されている先生方にもお伝えしたい事があります。

私は数ヶ月前よりご縁があって、リウマチの名医である宗像クリニック院長の宗像靖彦先生と交流があり、何度かセミナーにも参加して参りました。

宗像先生のデータによると、関節リウマチ患者の5人に1は専門医へかかる前に、接骨院や鍼灸院への通院履歴があるとの事だそうです。

リウマチの症状でイメージするのは恐らく、手の指が腫れて痛み変形してしまう病気と思いがちかもしれませんが、膝や肩など身体の多くの関節にも発症します。

それらの関節が痛むと最初からリウマチだと思っている患者さんは少ないため、先ずは整形外科や接骨院に受診する方が多いです。

しかもリウマチは中年以降の病気と思いがちですが、早ければ20代でも発症する場合もあります。若いのに最初からまさかこの関節痛がリウマチだと思っている人は少ないでしょう。しかしこの初期の段階で専門医へ受診し治療を開始すれば、ほぼ確実に症状を抑えられるのだそうです。

長引く関節痛、整形外科や接骨院に通院しても症状が改善しない場合は、速やかにリウマチ専門医へ一度は受診する必要があるでしょう。

最後に・・・

関節リウマチは決して治らない病気ではありません。
今回はリウマチとはどんな病気なのか伝えたかったのは、以外と身近な疾患であり、重症化するまで適切な治療をしなければ、取り返しのつかない事態になり兼ねないからです。

ですので、一般の方だけではなく、我々医療従事者も関節リウマチの知識をしっかりと持つ必要があると言えます。

宗像先生のクリニックで最近、医接連携会議が発足しました。
これは医療と接骨院が連携する事で、患者分布の適正化と、患者さんの治療満足度向上を目的としたものです。

例えば関節リウマチ患者など、接骨院で抱えていてもリスクを負うだけなので、しっかりと専門医に紹介できる繋がりを持っておく必要があるという事です。
全ては患者様のためです。

如何でしたでしょうか?
今回のブログを読んで、少しでも【関節リウマチ】の事を知っていただけたら幸いです。

今回も最後までご購読ありがとうございました( ◠‿◠ )

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